制作楽屋話  アサリのウラオモテ

 

浜名湖名物は何もウナギだけではありません。

浜名湖は栄養豊かな湖で、中に入った魚も貝も

格段においしくなるのです。

 

今日はその中でも、アサリの話です。

 

私は アサリなど二枚貝を見るといつも

思うことがあります。それは・・・

 

はたして彼らには「裏・表」というものが

あるのだろうか、ということです。

 

アサリの裏表・・・(性格的にはなさそうですが)

あるとしたら、どうやって確かめたものでしょう。

・・・ウワサで聞いた、ハマグリの話です。

「ハマグリの蝶番を下にして立てて、

手を放して 倒れた方に身がくっついている。,

こちら側を下にして焼けば、貝の口が開いた時、

身が下にあって、汁がこぼれない。」

 

・・・ハマグリを網で焼いたことはないですが

貝が口を開けた時、身が上にくっついてしまっていると、

美味しい汁がこぼれてしまうらしいです。

ただの噂ですが、他に何のととっかかりもなかったので、

試してみることにしました。

 

まずは浜名湖まで、アサリを買いに行きます。

浜名湖周辺をふらついていれば

「アサリ直売所」がそこかしこに見つかります。

(多分 漁師さんが漁協に卸した後、余りを

自宅で売っているのだと思われる。)

 

私はそのうちの一軒に入って言いました。

「アサリ1キロ下さい」

・・・ばれたと思いますが、私は普段

料理をしません。アサリって1キロ2キロって、

買うんじゃなかったの?

 

店の人(漁師さん?)は

アサリを網からざらりと床にまきました。

しゃがんで、アサリを一つ一つ、床にコツコツ

当ててみては 身が入っているかどうか確かめ、

はかりに載せていきます。

床にあててみて、いい音がしなければ

ぴょいと放って また一つ、手に取って

文字通り、じっくり腰を据えて 1キロ、

選んでいきます。

(途中、近所のお得意さんらしい人が来て

先にそちらの相手をして、また戻ってきて

作業に戻ります。1キロ・・・)

 

そんな感じでアサリを手に入れ、

自宅に戻った私は さっそくスケッチ

アサリの色がきれい、色付きスケッチです。

(この時は何も考えてもいませんでしたが、

一番最初に色をスケッチしておいて

よかった・・・と後で思います。)

 

そしたらいよいよ、貝の蝶番を下にして

転んだほうを下にして

並べていきます。 1キロ分。

フライパンで焼いてみると・・・

 

パカッと口を開けた貝の身は

ほとんどが 上についていました。

は?なんで?

 

当たり前です

下からフライパンの熱が来る

身の下半分がやられて

貝柱の下側外れる

火が回るまでに少し間のあった

上の貝柱はついたまま

貝の口開く

身は貝柱にくっついて上へ

 

こうなるのか普通ですよね、

考えてみれば。

じゃあ最初の話は・・・

かなり、いい加減な話だってようです。

 

なーんだ。

どうしよう、アサリ1キロ・・・

 

一応、台所の中で一番 切れ味のいい

ナイフで アサリの身をスライスしてみましたが、

特に内臓に偏り等分からず。

アサリには裏表は無いんじゃないか…

いや、アサリによっては

「こっち側が底に付いてるほうが

しっくりくる」

とか、あるのかもしれませんが、

どのみち アサリ本人たちにしか

分からない話のようです。

 

というわけで、

絵本の挿絵に描いたときは

裏表は特に意識していません。

 

なお、最初に言いましたが、

アサリのスケッチを色付きにして

先に描いておいて よかったのは、

 

火を入れてしまったアサリが、

茶色っぽく変色してしまったからです。

キレイな青系だったものも、

みんないろあせてしまいました。

 

今後、アサリを買う機会があったら、

どうぞ 料理する前に、アサリの色を

愛でてくださいね。想像よりもキレイな

色をしていますよ。

これは、絵本にばっちり反映しときました。

 

なお、実験に使ったアサリは、その後

母が 酒蒸しに作り直し、美味しい美味しいと言って

食べていました。  1キロ・・・

食べきるのに何日かかかりました。

 

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