制作楽屋話  イタい話

 

絵本「因幡の白兎」の

あとがきにも書きましたが、

 

私はこのお話で一つ、

 

気になっていたことがありました。

 

 

オオクニヌシが赤むけの白うさぎに、

体を洗うように言うシーンです。

 

ざっくり説明すると、

 

ワニに毛をむしられて

全身赤むけになった白うさぎは、

兄神たちに騙されて

海水につかり風に吹かれ、

傷を悪化させてしまいます。

 

 

そこに通りかかった弟神オオクニヌシは、

白うさぎに正しい治療法を授けるのでした。

 

まずは、急いで川の河口へいき、

水で体を洗えと言います。

 

そりゃそうだ。

海水まみれなんですからね。

 

そして、ここで言う「水」というのは、

海水に対する淡水、真水のこと

と訳されることが多いです。

 

それはいいんですけど、なぜ、なぜ

真水を浴びるのに

わざわざ川の河口まで行くのでしょうか。

 

 

白うさぎはもう、疲れ果ててボロボロなのに、

川の上流でも、池でも沼でも、

いいじゃないですか。

 

なぜ、わざわざ河口へ行くのか・・・。

長年の疑問でした。

 

調べていくうちに

「生理食塩水で洗うため」という

説を見つけました。

 

河口は、海水と淡水がまじりあう

汽水域です。塩分濃度が血液と同じ場所なら、

生理食塩水です。

 

生理食塩水といえば、

床ずれを洗ったり、

鼻うがいをしたりしてもしみない、

痛くないヤツですね。

 

「水」とはただ水ではなく、

あくまで「河口の水」なのです。

 

傷口か、そうか。

 

都合の良いことに、

私の手にはその時傷がありました。

 

絵本を描いていた当時、

ズボラに洗濯物をため込んでいて、

ある時大量に部分洗い

(エリ、ソデなど洗濯機に入れる前にちょっと下洗い)したら、

化学繊維に手が負けたのです。

 

右と左、ちょうど同じぐらい

傷ができていて、

うっすら血がにじんでいます。

 

これは・・・チャンスじゃないか!

どんぶりばちと片手ナベを用意しました。

 

どんぶりに整理食塩水を入れ、

ナベには水道水を入れます。

 

左手をどんぶりに、右手をナベに、

同時にゆっくり入れてみると・・・

確かに、左手は痛くない。

 

そりゃ多少の違和感くらいはあるけれど。

 

真水の右手は、

水が冷たいってだけでもかなりしみます。

 

中で手を激しく振ってみましたが、

左手生理食塩水は大丈夫です。

 

なるほど なるほど・・・

これなら疲れていても、

体じゅう痛くても(だからこそですが)

河口までつかりに行く価値はあります。

 

私はこの「生理食塩水説」を

とることにしました。

 

そもそも原作(原文)では、

「今すみやかにこの水門(河口)へいき、水をもちて汝が身を洗いて」

とあり、真水とは一言も言っていませんしね。

 

口に含んでみると、

塩辛い一歩手前の、

ものすごくミネラル感のある、

重い風味の水でした。

 

河口へ行ってこんな感じの場所を探せば

ちょうどいい濃度!

 

それにしてもオオクニヌシ、

なんでこんなこと知ってたんだろ。

 

兄神たちに、いじめられていたそうなので、

経験的に知ってたのかな。

 

それが白うさぎを助けるときに

役に立ったなんで、優しいけど

痛々しい話だな・・・

 

 

そんなわけで、

絵本の中で白うさぎが川で体を

洗っているシーンが

ありますが、あれは生理食塩水です。

 

しみてません。

 

痛いシーンではないので、安心して見てね。

ブログ痛い話

 

 

 

 

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