制作楽屋話  熱川ワニ

 

絵本「因幡の白うさぎ」で

最初にワニを見に

行ったのは、「熱川バナナワニ園」でした。

 

(熱川とかいて”あたがわ”と読みます)

 

ここに、イリエワニがいるのです。

 

実は、ワニは淡水に棲む生き物です。

 

川ワニがクロコダイル

沼ワニがアリゲーター

ざっくりそんな感じです。

 

しかし、イリエワニは

名前の通り

入り江に棲みます。

汽水域に棲むワニです。

 

そして体がデカい。

デカいので飼育しにくい。

扱っている施設は限られます。

 

そんなレア動物がバナナワニ園にいると聞いて

早速行ってみたのです。

 

※私が絵本を作っていた時点では、まだ爬虫類専門動物園IZUはできていませでした。

今現在ここには、日本最大のイリエワニが飼育されていますよ。

 

さて、もうじき台風も上陸

しようかという六月の悪天候の中、

伊豆下田急行に乗って出かけていきました。

 

何もこんな日に、とも思いましたが、

明日になると台風が上陸するとのこと。

 

今日のうちに行ってこようと頑張ったのです。

 

「因幡の白うさぎ」では、

ワニは海を泳いでいる

ことになっています。

 

サメで描こうか

ワニで描こうか

散々迷った挙句、

私はワニで描くと決めたのです。

 

イリエワニは

入り江から出て、海を泳ぐこともあるそうで、

うっかり流されてかなり遠くまで来ることもあるらしい。

 

日本でも

沖縄とか西表島だったか、、、

沖のほうで

ワニが流されているのを

見たとかどうとか。

 

昔は自然が豊かだったから

もっと流されてきていたかも

しれない。

 

鳥取とか島根とかまで

たくさん来ていたかもしれない!

 

ちょっと飛躍が

あるかもですが、

ワニで描くなら

このワニしかいない!

 

しかし・・・

イリエワニのプールに

行っても、ワニは

中に潜ってしまっています。

 

折からの雨で

水は濁るわ

水面は波立つわ、

見えない・・・・

必死に柵の中を

覗き込むと

何やら白いものが

見えるようです。

 

ずいぶん長いこと

見つめていましたが

それは動きません。

疲れてふと向き直り

私は総毛だちました。

 

すぐ足元に、

どでかいイリエワニが

浮いていたのです。

 

私が見ていてのは、

池の中の石か何か、

すごくどうでもいいものだったと思われます。

 

音もなく

 

気配もなく

 

巨大なワニが、

 

いつの間にか

本当に近くまで

忍び寄って来ていたのです。

 

ゾッとしました。

 

本当に本当に

怖かったです。

 

柵が無ければ、

私は自分でも気づかぬ内に

ワニに食われていた

ことでしょう。

 

動物ってすごい。

当たり前ですが、

ワニは「ワニのプロ」

なのです。

 

貴重な体験でした。

ありがとう、ワニ。

 

次の日、

天気予報によれば

台風で大荒れに

なるはずの日は、

すっきりと

晴れあがりました。

自分の要領の悪さに

あきれつつ、

でも、思えば、

 

晴れてたら

ワニと

あんな遭遇

しなかったわけだし

・・・良かったのか?

 

でも、さすがに

あの池では

ワニの全身のデッサンはできないな。

 

いろんな角度から

描けるように

ならないと、

自由に芝居が

つけられないのです。

 

結局、イリエワニが

大きな水槽に

入っている、

上野動物園、爬虫類館に通うことにしました。

 

ここならワニの

おナカも見られます。

 

あれ以来、

バナナワニ園

行ってないけど、

ヤツは元気に

してるだろうか。

 

また行きたいです。

今度は

天気のいい日に。

 

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