制作楽屋話   花粉と穂綿

もう秋ですね。

秋と言えば、

ガマですね(?)

ガマガエルではなく

水辺に生える

蒲です。

ふわふわの穂綿になります。

布団のことを

蒲団と書くことが

ありますが、

昔、綿の代わりに

蒲の穂綿を入れる

ことがあったからです。

そんな穂綿に包まれたら、

弱った白うさぎも

さぞかし癒されるだろう・・・

・・・と思ったら、

なんと原文には

穂綿は出てこないのです。

因幡の白うさぎでは

オオクニヌシが白うさぎに

川の河口の水で体を洗い、

カマノハナ(ガマの花粉)

を身体に塗るよう教えます。

 

ガマの花粉は蒲黄(ホオウ)といって

止血作用があります。

また、飲んでも薬効があり、

今でも漢方薬の材料として

用いられています。

と、いうわけで、

蒲の穂綿の方は

一言も出てこないのです。

穂綿には薬効は無いのか・・・?

しかし、

白うさぎが穂綿で

体をふくと

体が元通りになる、という

話のほうがよく

知られているように

思われます。

なぜかはよくわかりませんが

語り伝えられていく

間に、変化していった

ようです。

 

たとえば、

月にうさぎがいる

という伝説を

ご存じかと思います。

もともとは

インドで、仏教の話として

生まれ、中国に伝わり

道教のなどの影響を

受けたか うさぎが

月で薬丹を作っている

という話に変化しました。

日本に伝わると、

薬丹を練っているのではなく

餅をついている

という話として

定着しました。

お話は、

語り伝えられていく

うちに、変化することも

あるのです。

 

語り伝えられている

ということは、

今も皆さんの心に

生きている神話と

いうことです。

 

なるべく絵本は

原文にそって、と

思っていましたが、

これだけ 皆さんの

心に浸透している

ガマの穂綿を 無視

することもできません。

 

色々考えたのですが、

苦肉の策で、

「ガマの穂綿に

花粉をつけて、

白うさぎの身体に

塗る」

ということにしました。

ふわふわの穂綿に花粉を

つけて、地面に敷き、

その上をまいころべば、

白うさぎもさぞかし

気持ちがいいでしょう。

 

これなら両方の

話をとれますね!!

それにしても、

「因幡の白うさぎ」は

”嫁とり”(婿選びか)

の話なので、

農閑期、 秋から冬の

話かと思っていたのですが、

ガマの花粉が

出てくるとなると

初夏から夏の話なのか?

ガマは初夏から花粉をつけて

種を作り、種が熟すと

穂綿に載せて 晩秋までに飛んで

いきます。

・・・なので、本当は

花粉のある頃は

まだ穂綿は発達しておらず、

穂綿がふわふわに完成した

頃には、花粉は

とっくの昔に

無くなっています。

 

両方が一時にある、

・・・というのは、

リアルに考えると

ありえないことなのですが。

 

ガマは沢山の株が

群生するものです。

絵本のあとがきにも

書きましたが、

すごーく成長の遅かった

ガマの花粉と

すごーく成長の早かった

ガマの穂綿だと

思ってくださいね。

 

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