制作楽屋話  天地捏造

 

 

田んぼの隅に、

白いビニール袋が置いてありました。

それは、山に分け入るほどに

増えていき

田を家を覆いつくしました。

雪でした。

 

「因幡の白うさぎ」を

作っていた時、私は

鳥取(旧因幡)へ取材に

行ったのです。

瀬戸内海側から日本海側へ

向かう時、

山を越えるのですが

そこでは雪が

降っていたのでした。

 

遠州名物 からっ風

吹きすさぶ

太平洋側育ちなので、

見慣れてなくて

とっさに分かりませんでした。

そうか・・・今時分

山陰では雪が降るのか・・・。

日本は狭いけど

深いですよね。

 

さて、鳥取に着いたらまず

伝説の地 白兎海岸へ!

お話に出で来る

島を確認です。

 

・・・一説によると、

白うさぎは、もともと

因幡で暮らしていたものが、

大水が出たときに

沖の島まで流されたのだそう。

竹の根っこにつかまって

流れ着いたそうです。

命は助かったものの、

その島には、

仲間のうさぎが

一羽もいず、

なんとか

因幡へ戻ろうとする

お話なのでした。

 

沖の島には、主に

隠岐の島説と

沖にある島説とあって、

(白兎海岸の海岸線近くの

うさぎ型の島が

それだといわれて

います。)

 

どっちにしようと考えました。

 

なお、

隠岐の島には、

オキノウサギが生息している

そうです。

 

仲間のうさぎ、いるじゃないですか・・・

いやいや、神話の時代には

いなかったかもですが、

現在いるとなるとな・・・

私の絵本では

沖にある島説を

とることにしました。

 

この島ですが・・・

島というより岩。

木も生えていません。

草も豊かとは言えない。

 

ここに流れ着いたなら、

白うさぎも さぞ

因幡が恋しいことでしょう。

 

ですが、この沖の島にも

問題が。

 

海岸に近すぎる!!!

 

引き潮になったら

地続きになりそう。

 

あまりに向こう岸に

近いので

ワニだって 間に

何頭入れるか・・・

(ぎゅうぎゅうだぁ)

 

これ、

こんなこと言っちゃ

なんですが・・・

心の声
(白うさぎ、自力で
渡れるよ~)

 

どうしよう。

 

私の

島の(勝手な)イメージが・・・

 

 

そこで、島を程よき遠さ

(あくまで私の勝手な

イメージによりますが)

に、描いてしまうことに

しました。

 

写真を撮ってきて

プリントし、

 

コンビニに何度も行って

少しずつ島の大きさ

を変えてコピー。

 

ここぞ! という大きさを

切り抜いて

別の水平線の写真に

ノリで貼り付けます。

 

(まるでそこに

もとから島が

あったかのように!)

 

仕上げに

薄ーい和紙

(典具帖紙:日本一

薄い和紙だそう)

を貼り付ければ、

絵と馴染む背景の

出来上がり!

 

・・・と、まあ

こんなわけなので、

もし、白兎海岸へ

行かれても、

あの風景は

ありません。

 

絵本の中だけのものです。

 

鳥取ではたくさん写真を

撮り、他にも使っています。

波打ち際や

山の背景がそれです。

 

なかに、ちょっと

地味なページだけど

白兎海岸の砂浜、

砂の色を使ったページが

ありますよ。

見つけてみてね?

 

 

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