制作楽屋話  稲架

 

そぼ降る雨の中、刈田が広がり

稲架が延々と続きます。

 

カラス達が群れて

稲架の上に黒々と

止まっています。

 

秋の花川は こんな感じ。

 

稲は刈り取った後

稲架(はさ)に掛けて

干されます。

 

調べるとこの稲架、

地域によって形が違い

私が見慣れていたものは

東海地方独特のものだと

いうことが分かりました。

 

 

こ、これは是非、

絵本に描き入れなければ。

 

絵本「なみこぞう」には

遠州名物をできるだけ入れるんだから。

そんなわけで 取材に来たのでした。

 

まず、メジャーで稲架(私の家では

はず、と言っていました。

 

はさ→はざ→はず と訛っていったらしい)

の、高さ等測ってサイズ感を把握。

 

稲架の組み方を観察 スケッチ。

 

ついでにあぜ道の秋草などスケッチして

気が済んで帰りました。

 

家に帰りついてから

「あれ? 筆入れが・・・無い?!」

大変なことに気づきます。

 

なんと、絵描きの命ともいえる

鉛筆を 筆入れごと無くしてきた!

 

私のお気に入りのス●ッドラーがあ!!

 

 

翌日、慌てて花川へ。

 

花川の下流、浜名湖に注ぎこむ辺り、

民家ばかりの のどかなところ。

あぜのアカマンマ描いた時かな・・・

 

注意深く見ていくと、

あった、水色の鉛筆ス●ッドラー

 

(ここぞという時に芯が粘ってくれる

ので大好き・・・などど言っている

場合でもなかった)

 

でも、一本だけ ぽつんと落ちています。

 

拾ってしばらく行くと、 また一本。

 

あっちにも一本。

 

こっちのあぜに、あっちの茂みに鉛筆が

脈絡なく落ちているのです。

 

まるで子供が 筆入れを拾い、

遊び歩いて こっちへポイ、あっちへポイ、

いたずらしたような。

 

いや、それにしてもおかしい。

 

何か違和感がある。

この規則性のなさ、支離滅裂というか

わけのわからなさは・・・

 

・・・そうか、 犯人は

人間じゃない! 別の生き物だ!

カラスだーーー!!!

 

覚えていらっしゃいますか、ブログ冒頭

カラスが出て来たことを!

 

結構な数でした。

カラスは黒いものを持った人間を

攻撃するといいます。

 

黒いものをとっさに仲間だと思い、

それを掴んでいる人間を襲うのです。

 

私の筆入れは真っ黒でした。

カラスの目には目立つはず。

 

あぜかどこかに落ちていたのを、

目ざとく見つけたのでしょう。

 

(いつもとは違うことに気づく

能力も高いらしい。)

慌てて飛んできてみれば、

ただの筆入れ。

 

なーんだ とばかりに突っつきまわし

そのうち中身の鉛筆をほじくり出し

くわえては放り、したのでしょう。

 

(あくまで推測ですが)

鉛筆を拾いつつ、辿っていくと

水路の中に 筆入れが落とされてありました。

 

中には消しゴムが入ったままになっていました。

 

カラスめ、途中で飽きたな?

 

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